NO.233 「かんだやぶそば」で思うこと。

三月に入って次第に厚着のコートからスプリングコートを羽織る程度の気持良い季節になりました。
花粉症の私としては、マスクと目薬が手放せない季節です。中国からの黄砂等の舞い散る季節でもあるのですが、梅や桃に続いていよいよ桜の季節でもあります。
今月末に京都に行くのですが、桜にはまだ早いかもしれませんね。宿の予約の関係で開花のタイミングが難しいです。
それでも、うららかな陽気は、なぜか心うきうきの気分に成ります。
ところで先日「かんだやぶそば」が火事になったニュースには、いささか惜しいお店がなくなり寂しさを覚えました。
日本蕎麦は、私の好きな食べ物のトップグループです。
創業130年の老舗であり、地元浅草生まれの“池波正太郎”さん曰く「東京が誇り得る数少ない名店の一つ」の蕎麦屋さんでした。
「藪蕎麦」は、「砂場」「更級」と並ぶ江戸三大そば店です。
「かんだやぶそば」「池之端藪蕎麦」「並木藪蕎麦」が藪蕎麦御三家と言われています。
私は子供の頃から、向島にある「お墓参り」の帰りには決って家族で「並木の藪蕎麦」に寄って“温かい天麩羅そば”を食べるのが、お決まりでした。満腹になって座敷でひっくり返り天井を仰いでいたのを良く覚えています。今ではチョット考えられないのですが・・・
勿論「かんだやぶそば」にも「池之端藪蕎麦」にも行くのですが、地元浅草の「並木藪蕎麦」が私にとってはヤッパシ一番かな。
お銚子一本、蕎麦味噌を肴にチビリチビリやってる内に、温かい天麩羅蕎麦の登場です。ふうふう言いながらつるつるすすって、のど越しの食感を楽しみつつ、そばつゆをすすって“あ~あ美味い”がいつものパターンです。途中ころあいを見計らって、“おねえさん”にかけそばを頼みます。
“天麩羅そば”と“かけそば”の出汁の違いを味わいつつ幸せの時間は、あっという間に終りです。ずうーと続いたら次回の楽しみがなくなります。コレでイイのです。
しかし気が付くと、昔から御帳場にドンと座っていた頑固な親父さんの掛け声も聞かれなくなり、そばつゆも昔から比べると随分薄口になりました。
そんな事を「かんだやぶそば」の火事のニュースを聞いて、色々思い出した次第です。
私もそれだけ年を重ねてきたと言う事ですね。
今日の帰りにちょいと寄り道して、並木に行くとしましょう。