NO.179 思い立って京都。

新聞に「京都城南宮神苑のしだれ梅」の記事が写真入りで掲載されておりました。私恥ずかしながら城南宮を知りませんでした。平安時代末期造営の城南(鳥羽)離宮は、極楽住生を夢見た上皇方の離宮だそうです。調べると現在城南宮は、方除の大社としてこの季節「しだれ梅と椿祭り」が行われております。
そこでCMではありませんが、そうだ京都へ行こうと相成りました。
京都駅から地下鉄に乗り換えて最寄り駅である竹田駅へ、ここから徒歩にて目指す城南宮へ。途中宮内庁管轄の上皇所縁の寺を過ぎてお目当ての城南宮神苑に無事到着。新聞の影響か城南宮は、特に年配客でかなり込み合っておりましたが、しだれ梅(150本とか)は本当に見事でした。一度にこんなに梅の花を見たのは、水戸の「偕楽園」以来です。
しだれ梅を堪能したらもう昼過ぎ、美味しい京料理を目指して一路祇園へ。祇園では、来月の四月一日~三十日の一ヶ月間は、「都おどり」が祇園甲部歌舞練場で催されます。この会場の真向かいにあるのが、京料理 祇園「かわ富」です。京料理は、味だけでなく目も楽しませてくれます。和食の繊細さを静かな和室でいただく“おとなの贅沢な時間”は、日本人でよかったな~とつくづく感じる瞬間です。
この「かわ富」から歩いてすぐ近くに京都最古の禅寺「建仁寺」があります。「建仁寺」といえば俵屋宗達の晩年の最高傑作とされている国宝「風神雷神図屏風」が特に有名です。この二曲一双の屏風は、残念ながら通常は高精細デジタル複製が展示されておりますが、私は東京の国宝展等で何度か本物を見ております。出来る事ならばいつかこの建仁寺で本物を拝見したいものです。その他に方丈襖絵「雲龍図」も複製にて展示されておりました。
雨がちらつく中、最後に閉館間際の真言宗智山派「総本山智積院」に長谷川等伯とその一派によって描かれた「楓図・桜図・松に秋草図・松に黄蜀葵図・雪松図・松に立葵図等」を見に行きました。この内特に桜図と楓図が日本の障壁画を代表ものとして知られております。等伯の楓図は、庭園を望む別室にデジタル復元され当時の色彩が再現されておりました。描かれた当時はこんなに見事な色調だったのかと感動しましたが、本物の年月によって色あせた色調も何とも重みがあり、私個人的には勿論こちらに軍配を上げました。
「思い立っての旅」次は何処に行くのか。
密かな楽しみがまた増えました。